_trip 恒春/客引きのおっちゃんに晩御飯をごちそうになるの巻('16年4月台湾旅)

4月20號(三)

タイトルに書いたまま、
そんな出来事がありました、という話。

宿の周辺をぐるりと散歩したあたりで
今晩の予定はどうしようかと考えてみた。
なんしかお金がないわけであまり豪勢なことは無理。
ならば初日のうちに、天気もいいし、
「南十字星を見る」という目的を達成しておこう。
どこで見られるかはよくわからなかったけれど
最南端あたりまで行けば見られるかと思い立ち、バス停に向かった。
ルイルイと蛭子さんによるドキュメンタリー映画
『ローカル路線バス乗り継ぎの旅 THE MOVIE』(名作!)を観た時
21時ぐらいまで最南端方面には行けるっぽかったし、
とりあえず帰りのバスも含めて
それくらいの時間までなら行って帰れるだろうと踏んだ。

バス停でいつ来るとも知れぬバスを待っていたら
いろんな人が声をかけてくる。
そのすべてが客引きの人々で、リゾート地らしく、
個人のツアータクシーに参加しないかというものだった。
バスに乗るぐらいならうちの車に乗りなさいってなもんかな。

延々と来ないバスをとりあえず待つ。
すると一度断った客引きのおっちゃんがまたやってきて
おっちゃんのツアータクシーに参加したら
こんないいことがあるよ、というようなPRが始まった。
暇つぶしに話を聞いていたのだけれど
「前向き」感を出すと断る時に申し訳ないので
一通りのPRを聞き終えたところで、
実は財布(厳密には旅行用の全財産入りの銀行カード)を忘れた、
だからお金がほとんどない、私はばかな旅行者なんだ
ということを白状した。
信じられない様子だったので
事の顛末を、私の使えうるすべてのボキャブラリーを使って
あらいざらい伝えた。
だ! か! ら! タクシーには乗れないんだよ、と。

おっちゃんは諦めて去って行った。

それにしてもやはりバスが全然来ない。
夜になると便と便の間隔が長くなるのかもしれない。
バスは来ないがおっちゃんが三度やってきた。

おっちゃん「まだ待ってるん?」
私「そうやねん。バスいつ来るんかな。てか、南十字星見られる?」
おっちゃん「墾丁大街まで行けば見られるで」
私「そんな賑やかな場所から見れるん」
おっちゃん「見れるで。それより、ごはんは食べたんか?」
私「まだ食べてない」
おっちゃん「そんならおっちゃんがごはんご馳走したろ」
私「えーーーー、大丈夫。ごはん食べるぐらいの金は持ってるから」
おっちゃん「ええからええから。ついておいで」

私め、台湾では基本的に誘いには(安全を考慮しながら)乗っかり
遠慮はしないようにしている。
が、さすがに今回はどうしようかと思ったけれど
親切を無下にするのもなと思い立ち(この感覚、トラブルの元ですよ)、
変なところに連れて行かれそうになったら
いつでも走って逃げられるぐらいの間隔を空けながら
後ろをついていった。

で、おっちゃんが案内してくれたのは
バス停から歩いて30秒ほどの、
明るい通り沿いにある自助餐店だった。

おっちゃんはおかず棚から主菜副菜と適宜選んでくれて
ごはんを盛ってくれ、スープを入れてくれ、
箸を出してくれて、
私はテーブルに座っているだけで上げ膳据え膳のうちに、
夕食にありつけることとなった。


ひらすら恐縮する私に
おっちゃんは「気にせんでいいから早よ食べ」と言って
自分もどんどんとごはんをかっ込む。
私も遠慮なくごちそうになった。

おっちゃんはもともと警察に勤めていたけれど
辞めてツアータクシーを始めたそうで
今日は台湾人の女の子2人組がお客さんで
墾丁半島をぐるっと巡ってきたとのこと。

日本にも何度か遊びに来たことがあって、
九州とか信州とか、私よりよっぽどあちこち行っていた。

店を出たら「気をつけてな」と言って去っていった。
おっちゃん、ありがとう…。

時間も20時ぐらいになっていたので
今日は星はやめにして、大人しく宿に帰ることにした。

【注】とか書きつつ…本来はこういうことしない方が良いです。
   親切だからといって、知らない人に
   のこのこ付いて行くことは
   全くもっておすすめしませんのでお気をつけて!
   私も気をつけます。

つづく

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