_trip 媽祖様と歩いた夏 その1・お出迎え編(2018年5月台湾旅)

5月17日(木)

前日ギリギリまで仕事をしてから夕方便で台湾へ。
桃園空港からそのまま國光バスで台中入り。
空港から台中までは約2時間。
台中には今回一緒に進香に参加する友人の実家があり
そこに一泊させていただいた。

昨晩は進香用の最低限の荷物を厳選しながらのパッキングで
12時過ぎまでかかってやっと寝て、今朝は4時半起床。
早い。眠い。だけど仕方ない。
これも台中から北港に向かうバスの始発に乗るため。
多分同じように進香に参加する人がたくさんいれば
バスに乗れないかもしれない、
だからなるべく早くバス乗り場に行って、
早い整理番号をゲットしなければいけませぬゆえ。

朝食は友人のおかん手製の絶品粽とゆで卵。
でも粽って、中に肉が入ってるんじゃないの?
肉食べてもいいの? と尋ねたら
肉魚を食べては行けないのは行列が出発するまでの3日間だけ。
出発したらもうなにを食べてもいい、とのこと。
へー、不思議。どういう理由があるんかしらん。



朝食をそそくさと済ませて
今回の進香用の荷物だけを持ち
あとの荷物はすべておうちに置かせてもらって
友達が予約してくれていたタクシーに乗り込んだ。

進香に持って行った荷物、忘れないようにメモして。

●着用
Tシャツ
ボトム
スポーツタイツ(個人的にC3フィットがすごく良い)
キャップ(支給の蛍光オレンジ)
スニーカー(とにかく履き慣れているもの)
靴下(マラソン用の厚手のを履いて行ったら靴擦れ知らず)
支給のピンクタオル(日除けがてら常に首に)
腕章(絶対に忘れるべからず)

●手荷物
〈リュックの中〉
Tシャツ 2枚(儀式参加用の新品と翌日の徒歩用)
ボトム 1枚(儀式参加用)※翌日の徒歩は今日履いてるやつで
タオル 2枚(シャワーを2回浴びることを想定)
下着 2セット
靴下 2組
支給のウインドブレーカー
ビーチサンダル(宿舎用)
水筒(沿道の水はペットボトルで貰えるけど水筒がある方が便利な気が)
小さいタッパー(茶碗代わりに使うため)

※結果として、食事用の茶碗や箸はすべて「アリ」で提供されるので
 なくてもいけたけど、環保の意味で持っていく方が◎
熱中症対策の飴(徒歩の時、相当食べた)
スマホ充電セット
日焼け止め・シャンプー・化粧品・歯磨きセット(1泊分)
薬・絆創膏類
旅ノート&筆記用具(道中は書く余裕一切ないけど肌身離せない性質)

〈ミニショルダーの中〉
携帯
カメラ
自撮り棒(自分を撮る以外でもとにかく便利)
急速充電器
※宿舎にコンセントの数が少なく、誰かが使っていることが多い&
 徒歩の時に充電なくなる、ので絶対に必要
サングラス(ないと目が開かない)
マスク(爆竹が凄まじい時、交通量が多い道を歩く時に必須)
ティッシュ・ウエットティッシュ
ナイロン袋 複数枚(ゴミ入れにしたりタオル濡らしたり何かと便利)

※レインコートや、ビーサンとは別にtevaのサンダルも
 雨降った時の靴避難用にと一応台湾には持ってきていたけど
 直前の天気予報を見て「降らない」と確信、
 荷物をなるべく減らすため進香には持って行かず。
※もし路上で宿泊するならマットとかお泊まりセットが必要。
※お菓子類は全く不要、徒歩の時は沿道で水とお菓子のみならず
 スポーツドリンク、フルーツ、おばあ手作りの餅菓子、
 湿布や軟膏類までありとあらゆるものが配られているので
 必要に応じていただけます。(大切なお接待なのでもらいすぎ注意!)
※5月の台湾は日本の真夏並みなので、朝晩でも過度の寒さ対策は不要、
 その代わり、熱中症対策は絶対に絶対に絶対に必要。





北港に向かうバスが出ている台中客運の
朝馬バス乗り場に到着したのは5時40分頃。
北港までの運賃は一人230元。
この時点で整理番号は7・8番。



あらゆる装備を整えてやる気満々の私、と
今回巻き込まれてしまった友達、Zちゃん。
実はこの写真を撮りながら
夕方ぐらいに「朝は元気いっぱいだったのに」とか思うんかな
とか考えていたのですけれど、
全くその通り。
この12時間後…やばい状況に陥ります。(お楽しみに。)

6時25分発の第一便のバスは始発駅でほぼ満席となっており
我らの目の前で定員に。さらに40分待って
7時5分発の第二便になんとか乗り込めたのだった。



白沙屯拱天宮オフィシャルのオレンジキャップがちらほら。
みなさん進香に参加する方々なのでしょう。
いよいよ。いよいよなのですね。

バスに乗り込んで安心したところでとりあえず一眠り。
次に目を覚ました頃には車窓風景は田舎感満載。
もう雲林県に突入していた。

グーグルマップを確認するとこの先、
異常なほど渋滞しているルートが。

これは…

媽祖様と仲間たちによる行列の渋滞!?
媽祖様の現在地を知ることができるアプリを確認すると
おおお、まさに鋭意南下中。
こんな長距離に渡る凄まじい渋滞になるのか。
どういう状況なのか想像がつかないけれど、
とにかくすごそう。

 

渋滞を避けるようにバスは進み、
媽祖様を追い抜いて我らは北港・朝天宮の2kmほど手前にある
北辰派出所へと向かった。
Zちゃんが「ここが集合場所になっている」と何度も言っていて
その意味が実はあまりよく分かっていなかったのだけれど
北辰派出所が朝天宮に向かう行列の最後の立ち寄りスポット。
媽祖様一行は朝天宮にこのまま直接行くのではなく
この派出所に一旦ピットインし、
朝天宮の方からも遣いの人々がやってきてここで集合して
何かしらの儀式を行ってから
いよいよ朝天宮に向かう、ということらしいことを知った。

9時半すぎ、北港到着。
バスを降りて少し歩いて派出所を目指す。
派出所と日本語のニュアンスで聞くと
交番っぽいイメージだけれども
どちらかというと警察署という感じ。
なんで警察署が集合場所なのかはわからないけれど。



行く先にオレンジキャップの人だかりが。
現場は近い。



これが何度も聞かされていた北辰派出所。
建物の前にはテントが設えられ、
媽祖様を出迎える準備が整えられていた。

取り急ぎ、近くのテントで振る舞われていた
お接待の麺をいただいた後
Zちゃんの友達のCちゃんと合流。
どんどんと増えていくオレンジキャップ。
自然発生的に列ができてきたので我らも最後尾に。

あ、これは。

ピンと来ましたよ、私。
台湾に来る前に進香について色々調べていた時
人々が地面に伏して
その上を媽祖様の輿が越えていく行事の写真を見ていたので
この行列はきっとそれに違いないと思ったのだった。



その行列はどんどん延びていき
それを整理する人たちがやって来て
3人ずつ並ばせていく。
老若男女、ベビーカーを引いたお母さんもいれば、
なにか障がいがあるのであろうベッドイスに大きな男の子を乗せた
ご家族もいて、沿道でお接待をしていたどこかの企業が
使っていたテントをその家族に貸してあげていた。
とにかく来る人みんなを拒まずに
体調に合わせてみんなでフォローしている感じが良いな。



並んでいると前方、派出所あたりで凄まじい量の花火が打ち上がり、
爆発レベルの量の爆竹が放たれて黒煙が上がっていた。
なんだなんだ、何があった。
ついに媽祖様ご一行が到着されたのか。
なにせ並んでいないといけないので様子が全然わからない。



10時前から並び始め、炎天下ひたすら待つのみの1時間。
ものすごく、ものすごく熱い。
焦げる、まさにこの表現がぴったりなほど
直射日光に晒され続けた。これも修行だ。

並んでいる間もアイスクリームやらお餅やら
あとは縁起物のミサンガ的なものやお札やらが配られて来る。

と同時に、行列のそばをお囃子のおっちゃんおばちゃんを乗せた車やら
爆音で媽祖様を讃えているであろう音楽を鳴らすトラックが過ぎ行く。
爆竹も絶え間なく鳴り続ける。
台湾っぽい、台湾っぽい。



媽祖様と一緒にずっと歩いて来た様子のオレンジキャップの姿が見え始め
その人だかりにある存在を見つけたZちゃんが
「ほらほら、あれが頭旗だよ!」と教えてくれた。
媽祖様の輿の一団の先を行く、
「頭旗」と呼ばれる旗を掲げる一団。
あわわと言ってる間にあっという間に歩き去ってしまった。
頭旗、思ってたより小さかった。



それから少ししてやって来たのはラッパを吹く一団。





なにこれなにこれ、衣装も時代的で見るような。
この人たちも媽祖様と一緒に歩いて来たのか、
歩きながら一日中ラッパを吹いているのか。
友達に尋ねると、違うよと。
彼らは朝天宮側から遣わされた使者たちで
白沙屯媽祖が到着したことを
ラッパを鳴らして朝天宮媽祖に知らせているんだと。

へー、おもしろい。

そして次なる一団は媽祖様のお道具持ちの皆さん。







友達が教えてくれるに、
媽祖様の36の持ち物が棒の上にあしらわれているそうで
それを持ったピンクのお姉さんがたが過ぎて行く。
この人たちもずっとこれを持って歩いて来たのだろうか…。
(翌日、トラックに道具類がまとめて運ばれているのを見たので
これも派出所スタートの行列だと思われます。)



お道具類も通過したし、媽祖様の輿もすぐに来るかと思いきや、
待てど暮らせど来ない。
道具だけ先に行くのはなぜかと友達に聞くと
先に朝天宮に行って、媽祖様がやってくる準備をするのだとか。
なるほど、いろいろ段取りがあるわけね。

列に並んでると前方で行われているであろうことが
全然見えないわいとブーたれる私を見かねた友達が
「場所をキープしとくから見に行っておいで」
と優しい提案。

わは、ありがとう!
お言葉に甘えて一時行列を離脱して派出所へ向かった。



派出所周辺は凄まじい人だかり。
それをかき分け、かき分け、かき分けまくって
たどり着いた派出所前、媽祖様の輿が留まっているようで
(人混みがすごくて肉眼では見られなかったけど
棒を伸ばして写真を撮ったらこんな光景が。)
ちょうどなんらかの儀式を終えたばかりの様子で
まさに出発せんというところ。
やばいやばい、これ早く抜けないと出遅れて
せっかく並んでいた行列に戻れなくなる。
ここまで来たけれど、ゆっくり見学する暇もなく
大急ぎでまた人の海から抜け出て我がポジションへ。

行列の先頭の方々はいつでも準備万端とばかりに
すでに跪いて媽祖様の輿がやって来るのを待っていた。
特に前方にいる人たちは一様に花束を抱えていた。
これを輿に付いている花束と交換するといいんだとか。
(それをどのタイミングでするのかはわからない。)



列に戻るとまもなく、我らのところにも
跪いて待つように指示が下った。
帽子は脱いで、リュックは前で抱える、
なるべく低い体勢を取るように言われる。

うぎゃー、地面が熱い!!!

これに参加するつもりの人は
スカートや短パンは足が焼け焦げるので注意。
(時期にもよると思うけど。)

しばらくは顔だけ上げて前方を観察していたけど
頭を下げるように言われてからは
もう状況が確認できないし、撮影もできない。
媽祖様の輿が上を通過するのをじっと待つ。

カーン、カーンという銅鑼の音が大きくなることで
媽祖様の輿が近づいていることを知った。
邪な気持ちを(なるべく)捨てて
一心不乱に思うは今日来られたことへの感謝のみ。

地面が一瞬影になってその瞬間、
上を媽祖様が通っていった。
本当に一瞬。

媽祖様が通過したらすぐさま立ち上がる。
輿について歩いて来る人の邪魔になるのだ。

良かった。これで私も媽祖様とご縁を結べた。



振り返って媽祖様が進む方向を見ると
4車線ぐらいある道路を埋め尽くす人。
全員が同じ方向に、北港の朝天宮を目指して歩いて行く。
すごい。
すごい光景。

この時、初めて媽祖様の輿を肉眼で捉えた。
思ったより小さかった。



このあと15時から朝天宮で儀式があるので
それまでにシャワーを浴びて身を清め、
着替えておかなければなりません。

さあ、我らも北港へ参りましょう。

つづく

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