_trip 媽祖様と歩いた夏 その2・熱中症編(2018年5月台湾旅)
5月19日(木)
北辰派出所で媽祖様の輿を見送ったあとは
15時に朝天宮で行われる儀式までは自由時間。
まずは我らも朝天宮まで向かう。
思っていたより遠く、20分ぐらいは歩いた。
路上には夥しい爆竹の残骸。
道がちょっと焦げてるように見えるのは気のせいかな。
朝天宮までの短いルートの間だけでも
お菓子や水などのお接待は続き
「みなさんお疲れ様! トイレは中にあります」
という看板を掲げたヒュンダイのスタッフさんの姿も。
お兄さんこそ、この暑いのにお疲れ様です。
そうそう、トイレも大事よね。ありがたいよね。
朝天宮に近づくと、通りに沿うように赤い提灯がずらっとぶら下がり、
お祭り気分をさらに盛り上げてくれる。
廟の方に行くとなにやら聞こえる「進喔進喔(入るぞー入るぞー)」の声。
どうやら媽祖様の輿がいよいよ廟の中に入ろうとしている最中の模様。
友達曰く、廟の門の前を3回行ったり来たりして
そのあと廟の中に入るのだとか。
…って、言っている意味はわかるのだけど、
人が多すぎてなにも見えないため
実際どういう状況なのかはさっぱり想像もできない。
帰国後、進香を特集した番組の動画を見て
やっと理解することができた。
(記事の最後に貼り付けているのでご覧ください。)
輿が廟の中に入った瞬間、門は閉じられてしまった。
今から15時の儀式までは廟の中に入ることはできないとのこと。
宿舎へ。
汗だくでバッドスメルを放っていたので
いそいそとシャワー、そして着替え。
聞くに、15時からの儀式に参加するときは
清潔な服に着替えなければいけない決まり出そうで
私が読んだどなたかのブログでは
「初参加の人は新品の服で行くのが良い」と
書かれていたような。
ということでさすがに全身新品は厳しいので
Tシャツだけさらを下ろすことにした。
ユニクロの奇面組Tというふざけた一枚ではあるけれど
私にとってはお気に入りで購入したものなので
媽祖様も許してくださるでしょう。でしょうでしょう。
とは言え、15時までまだ3時間ぐらいあるので
このあとまたひと汗もふた汗もかきそうだけども
まあ…、仕方ないよね。
着替えたところで腹ごしらえ、と
宿を出て同行の友人らがまっすぐ向かったのが
進香の際に有名なのであろう、とある炊き出しの屋台。
骨つきの鶏肉の何かしらの料理。
わはー、台湾っぽい“リアル”な一品だ。
料理名は忘れてしまったけれど。
麻とか鶏とかそんな名前の食べ物。
食べ終えたあとは、涼を取るがてら
シャンプーをしてもらいにヘアサロンへ。
台湾の観光ガイドに良く出てくる、
髪の毛をビヨンと立てながら洗う“台湾シャンプー”、
観光客のためのものなんでしょ、ぐらいのイメージだったけど
サロンでシャンプーをしてもらうこと自体は
地元の人でも割と普通のことらしい。
訪れたそのサロンは、
おそらくチェーン系のヘアサロンのはずなのだけど
働いているスタッフガールたちの露出度が
(日本人の私から見ると)一様に異常に高い。
田舎のサロンってそんなものよ、なのかもしれないけど
トップスは空き広めのキャミ、ボトムはホットパンツ。
クーラーで冷えっ冷えになった店内、
ようおれるなそんな薄着でとおばはんは心配になるほどだ。
私を担当してくれたスタッフさんに至っては
もうほとんどビキニの水着みたいな(や、あれは確実に水着だ)
ヒョウ柄の上下、パンツはもはやTバック、
そこに申し訳程度の布しかない
超ミニのスカートを履いた攻めに攻めたコーデ。
Tバックのお尻が半分見えている状態で
目のやり場にものすごく困ってしまったが
(と言いつつどうしてもお尻の見え具体を確認してしまう)
本人は意に介さずといった感じで元気いっぱいに
次々やってくるシャンプー客を笑顔でさばいていく。
いや本当に、エネルギッシュな光景だった。
頭がスッキリしたあとは
杏仁かき氷の店にピットイン、
胃もスッキリさせたところで
15時が近づいて来たので改めて朝天宮へ。
廟の周りはすでに参拝客で恐ろしい密度となっていて
とてもじゃないけど、廟の中に入れる状態ではない。
儀式が行われているんだろうけれど
様子が一切窺い知れない。
儀式が終わったであろう時、やっと人の流れができて
廟に近づくことができる状態になった。
流れに乗って廟の前まで行くとギョッとする光景。
や、やぎ…?
お供え物…ですか?
進香の出発前は朝ごはんで肉魚がNGだったり、
かと思えば到着後は廟前に動物のお供えしたり、
どういうこっちゃ。
しかも大きなやぎが3頭も。
そのどれもが毛をむしられて丸裸。
と思ったら、ちょびっとだけ毛が残っているところがあった。
どうも参拝客がやぎの毛をむしっているようだった。
友達が言うに、この毛を持ち帰ると賢くなるとか?
脳の衰えを実感する日々で「賢くなる」というワードに敏感ゆえ、
ならば私も! と挑戦したわけなのだけれど
生き物から毛を引き抜くという体験が初めてでやはり腰が引けた。
死んでいるとは言え、やはり、ね。
ビクビクしながら毛を2本抜いた。
結構な剛毛だった。
続いて廟へ参拝。
廟に向かって右側の入り口から入る。
中に入るとすぐ、左右を守るように
媽祖様の随神の2体の鬼が鎮座。
節分に幼稚園児が作るお面のようなファニーな顔立ち。
中央の祭壇にはたくさん神様がまつられていて
一体どれがどなたやら。
この中のどれかが拱天宮媽祖で、
どれかが山邊媽祖なのだろうけれども…わからん!
ざっとみなさんに向けてお祈りをして
廟を後にした。
実は宿舎でシャワーを浴びているあたりから
なんか体調がおかしいと思っていたのだけど
これやっぱり、いつものあれだ。
私の夏の台湾旅の初日に必ずかかる、熱中症だ。
もうわかるもん、自分でも。毎度のことやから。
ゆえに、今年こそはかからないぞと
水分補給もかなりこまめにしていたつもりだった。
なのになぜ。
頭痛と気持ち悪さが徐々に酷くなっていく。
ああどうしよう。
ちょうど宿舎の近くでは按摩師さんたちによる
ボランティアの青空マッサージが開催中。
熱中症と言えばカッサ、
もうここはカッサに望みをかけるしかない。
進香常連組の友人たちにはすでにおなじみっぽい
女性のマッサージ師さんにこの身を託した。
顔!
いつものカッサなら背中全体をこするけれど
なにせ屋外なので頭と首だけ。
でもってこれが、激痛。
つか頭なんて皮膚の下すぐに頭蓋骨とかなのに
そんなに強くこすらんでもってぐらい強くて
当たり前ながら激痛。
(でも次に友人が同じようにやってもらってたけど
涼しい顔をして受けていて、
やはり痛く感じない人は存在するようだ。)
はい、いっちょあがり。
赤くなったところが悪いところらしいのだけれど
お陰様で真っ赤っか。
下ろしたてのTシャツの首もとのところも
荒々しく塗られたオイルで黄ばんでべっとべと。
これでこの頭痛が治るのならば問題ない。
今回泊まらせてもらった宿について。
大きな廟ゆえ、各地からやってくるであろう信徒さんのために
周辺に宿舎がいくつかある模様。
この宿舎は1階はだだっ広い空間に敷物が敷かれていて
そこで雑魚寝するスタイル。
とは言え屋内には違いなくエアコンは効いているので
外で野宿するよりかは快適だと思う。
こちらはベッド付きの部屋。
簡単に言えば部屋を横断するでっかい二段ベッドが
2つセットされている、みたいな感じだ。
ベッドの上には隣同士やや重なりながら布団が敷かれていて
布団1枚分が1人分のスペース。
この環境、どこかで見たなと思ったら
そうだそうだ、富士山に登った時に
8合目だか8.5合目だかで泊まった山小屋だ。
でもここの布団は湿気が溜まってないし、
潤沢に水が出るシャワーもあるし、トイレもある。
私からすれば全く問題なしの、快適な一夜となるはずだった。
夕食の後はすることがないから
皆、ベッドに横たわって携帯をいじるか
みんなでおしゃべりするか、ぐらいのものなのだけど
なんかおかしい。暑い。室内がめちゃくちゃ暑い。
聞くと、エアコンが壊れたみたい、とのこと。
扇風機は天井で舞ってはいるけれど
大人数が一緒に過ごす部屋においてはほぼ無意味。
こもる熱気に一旦収まっていた頭痛が復活。
気分も悪くなってきた。
トイレに行くと、え? 水が流れない…?
シャワーも出ない。洗面所の水も出ない。
棟全体でまさかの断水。
エアコンストップ、水までストップ。
神様、どんな試練を与えてくれるんですか。
進香ビギナーには過酷すぎるわ、この試練。
汗でベッタベタの体もどうにもできない。
吐きたくなってもトイレに行けないと思うと
そのプレッシャーが余計に体調を悪化させる。
水もいっぱい飲みたくなってすぐに水切れとなり
フラフラしながらコンビニに買い出しに行くことに。
心配した友達も一緒について来てくれた。
宿に戻って管理室で断水のことを聞くと
たぶん今日は治らないだろう、とのこと。
元気だった友人でさえもしんどそう。
部屋に戻ってじっとしていたけれど
体調は戻らない。エアコンも直らない。
トイレに行ってみたけど水が出る気配はない。
熱中症で気分が悪くなった私的最良の対処法は吐くこと。
胃の中で消化不良になっている物をすべて吐き出すこと。
そのあと眠れば体調は一気にましになる。
友人に、外の共同トイレ(宿から徒歩3分)に吐きに行く宣言をしたら
どうせ部屋にいても暑いだけ、外の方がましだと
また一緒について来てくれた。
私が格闘している間、建物の外で待ってくれるとのこと。
ありがとうありがとう(号泣)。
とりあえず自然に嘔吐してくれたらと
便器と長らく対峙していたけれど予兆はやってこない。
もう仕方ない。こうなりゃ強制嘔吐。
口に指を一本突っ込んでやっていたけど
涙が出るばかりで埒があかん。
右手の親指以外の4本の指を喉のところまで押し込む。
胃の内容物は出ないのに涙ばかりがぼろぼろ出てくる。
ああああああああしんどすぎる、なんじゃこれは。
何度かトライして、なんとか、なんとか、
おそらく胃の中のものをすべて放出することができた。
これで大丈夫。あとは水分を摂って寝よう。
宿に戻ると、エアコンが復活していた。
エアコン! 冷気! なんとありがたいことか!
ただ、エアコンが復活したらしたで、
ベッドの上段の人たちは寒いと言って消し、
下段の人は暑いと言ってつける、の攻防。
いや、つけてくれ! つけといてくれ!(下段の私の叫び)
ちなみにトイレはその後、
隣の棟は水道が生きていることがわかって
そこに行くことでとりあえず難をしのいだ。
翌朝。4時ぐらいだったか。
まだ外は暗いのにみんな起きている。
体調はだいぶん良くなっていた。
しかも水が、復活していた!
お湯は出ないらしいけど、ここは南国、夏の台湾、
水シャワーで全く問題ない。
タオルと着替えをひっつかんでシャワー室へダッシュ。
媽祖様に試された過酷な一夜を乗り越え、
冷や汗脂汗あらゆる汗を水で洗い流し、
生き返った私め、もう大丈夫。うん大丈夫じゃ。
2018年進香の特集番組、白沙屯から北港への片道分。
人だかりで全く見えなかったあれやこれやの全貌が
これを見て初めてわかった。必見。
つづく
(1つ前の記事はこちら)
北辰派出所で媽祖様の輿を見送ったあとは
15時に朝天宮で行われる儀式までは自由時間。
まずは我らも朝天宮まで向かう。
思っていたより遠く、20分ぐらいは歩いた。
路上には夥しい爆竹の残骸。
道がちょっと焦げてるように見えるのは気のせいかな。
朝天宮までの短いルートの間だけでも
お菓子や水などのお接待は続き
「みなさんお疲れ様! トイレは中にあります」
という看板を掲げたヒュンダイのスタッフさんの姿も。
お兄さんこそ、この暑いのにお疲れ様です。
そうそう、トイレも大事よね。ありがたいよね。
朝天宮に近づくと、通りに沿うように赤い提灯がずらっとぶら下がり、
お祭り気分をさらに盛り上げてくれる。
廟の方に行くとなにやら聞こえる「進喔進喔(入るぞー入るぞー)」の声。
どうやら媽祖様の輿がいよいよ廟の中に入ろうとしている最中の模様。
友達曰く、廟の門の前を3回行ったり来たりして
そのあと廟の中に入るのだとか。
…って、言っている意味はわかるのだけど、
人が多すぎてなにも見えないため
実際どういう状況なのかはさっぱり想像もできない。
帰国後、進香を特集した番組の動画を見て
やっと理解することができた。
(記事の最後に貼り付けているのでご覧ください。)
輿が廟の中に入った瞬間、門は閉じられてしまった。
今から15時の儀式までは廟の中に入ることはできないとのこと。
宿舎へ。
汗だくでバッドスメルを放っていたので
いそいそとシャワー、そして着替え。
聞くに、15時からの儀式に参加するときは
清潔な服に着替えなければいけない決まり出そうで
私が読んだどなたかのブログでは
「初参加の人は新品の服で行くのが良い」と
書かれていたような。
ということでさすがに全身新品は厳しいので
Tシャツだけさらを下ろすことにした。
ユニクロの奇面組Tというふざけた一枚ではあるけれど
私にとってはお気に入りで購入したものなので
媽祖様も許してくださるでしょう。でしょうでしょう。
とは言え、15時までまだ3時間ぐらいあるので
このあとまたひと汗もふた汗もかきそうだけども
まあ…、仕方ないよね。
着替えたところで腹ごしらえ、と
宿を出て同行の友人らがまっすぐ向かったのが
進香の際に有名なのであろう、とある炊き出しの屋台。
骨つきの鶏肉の何かしらの料理。
わはー、台湾っぽい“リアル”な一品だ。
料理名は忘れてしまったけれど。
麻とか鶏とかそんな名前の食べ物。
食べ終えたあとは、涼を取るがてら
シャンプーをしてもらいにヘアサロンへ。
台湾の観光ガイドに良く出てくる、
髪の毛をビヨンと立てながら洗う“台湾シャンプー”、
観光客のためのものなんでしょ、ぐらいのイメージだったけど
サロンでシャンプーをしてもらうこと自体は
地元の人でも割と普通のことらしい。
訪れたそのサロンは、
おそらくチェーン系のヘアサロンのはずなのだけど
働いているスタッフガールたちの露出度が
(日本人の私から見ると)一様に異常に高い。
田舎のサロンってそんなものよ、なのかもしれないけど
トップスは空き広めのキャミ、ボトムはホットパンツ。
クーラーで冷えっ冷えになった店内、
ようおれるなそんな薄着でとおばはんは心配になるほどだ。
私を担当してくれたスタッフさんに至っては
もうほとんどビキニの水着みたいな(や、あれは確実に水着だ)
ヒョウ柄の上下、パンツはもはやTバック、
そこに申し訳程度の布しかない
超ミニのスカートを履いた攻めに攻めたコーデ。
Tバックのお尻が半分見えている状態で
目のやり場にものすごく困ってしまったが
(と言いつつどうしてもお尻の見え具体を確認してしまう)
本人は意に介さずといった感じで元気いっぱいに
次々やってくるシャンプー客を笑顔でさばいていく。
いや本当に、エネルギッシュな光景だった。
頭がスッキリしたあとは
杏仁かき氷の店にピットイン、
胃もスッキリさせたところで
15時が近づいて来たので改めて朝天宮へ。
廟の周りはすでに参拝客で恐ろしい密度となっていて
とてもじゃないけど、廟の中に入れる状態ではない。
儀式が行われているんだろうけれど
様子が一切窺い知れない。
儀式が終わったであろう時、やっと人の流れができて
廟に近づくことができる状態になった。
流れに乗って廟の前まで行くとギョッとする光景。
や、やぎ…?
お供え物…ですか?
進香の出発前は朝ごはんで肉魚がNGだったり、
かと思えば到着後は廟前に動物のお供えしたり、
どういうこっちゃ。
しかも大きなやぎが3頭も。
そのどれもが毛をむしられて丸裸。
と思ったら、ちょびっとだけ毛が残っているところがあった。
どうも参拝客がやぎの毛をむしっているようだった。
友達が言うに、この毛を持ち帰ると賢くなるとか?
脳の衰えを実感する日々で「賢くなる」というワードに敏感ゆえ、
ならば私も! と挑戦したわけなのだけれど
生き物から毛を引き抜くという体験が初めてでやはり腰が引けた。
死んでいるとは言え、やはり、ね。
ビクビクしながら毛を2本抜いた。
結構な剛毛だった。
続いて廟へ参拝。
廟に向かって右側の入り口から入る。
中に入るとすぐ、左右を守るように
媽祖様の随神の2体の鬼が鎮座。
節分に幼稚園児が作るお面のようなファニーな顔立ち。
中央の祭壇にはたくさん神様がまつられていて
一体どれがどなたやら。
この中のどれかが拱天宮媽祖で、
どれかが山邊媽祖なのだろうけれども…わからん!
ざっとみなさんに向けてお祈りをして
廟を後にした。
実は宿舎でシャワーを浴びているあたりから
なんか体調がおかしいと思っていたのだけど
これやっぱり、いつものあれだ。
私の夏の台湾旅の初日に必ずかかる、熱中症だ。
もうわかるもん、自分でも。毎度のことやから。
ゆえに、今年こそはかからないぞと
水分補給もかなりこまめにしていたつもりだった。
なのになぜ。
頭痛と気持ち悪さが徐々に酷くなっていく。
ああどうしよう。
ちょうど宿舎の近くでは按摩師さんたちによる
ボランティアの青空マッサージが開催中。
熱中症と言えばカッサ、
もうここはカッサに望みをかけるしかない。
進香常連組の友人たちにはすでにおなじみっぽい
女性のマッサージ師さんにこの身を託した。
顔!
いつものカッサなら背中全体をこするけれど
なにせ屋外なので頭と首だけ。
でもってこれが、激痛。
つか頭なんて皮膚の下すぐに頭蓋骨とかなのに
そんなに強くこすらんでもってぐらい強くて
当たり前ながら激痛。
(でも次に友人が同じようにやってもらってたけど
涼しい顔をして受けていて、
やはり痛く感じない人は存在するようだ。)
はい、いっちょあがり。
赤くなったところが悪いところらしいのだけれど
お陰様で真っ赤っか。
下ろしたてのTシャツの首もとのところも
荒々しく塗られたオイルで黄ばんでべっとべと。
これでこの頭痛が治るのならば問題ない。
今回泊まらせてもらった宿について。
大きな廟ゆえ、各地からやってくるであろう信徒さんのために
周辺に宿舎がいくつかある模様。
この宿舎は1階はだだっ広い空間に敷物が敷かれていて
そこで雑魚寝するスタイル。
とは言え屋内には違いなくエアコンは効いているので
外で野宿するよりかは快適だと思う。
こちらはベッド付きの部屋。
簡単に言えば部屋を横断するでっかい二段ベッドが
2つセットされている、みたいな感じだ。
ベッドの上には隣同士やや重なりながら布団が敷かれていて
布団1枚分が1人分のスペース。
この環境、どこかで見たなと思ったら
そうだそうだ、富士山に登った時に
8合目だか8.5合目だかで泊まった山小屋だ。
でもここの布団は湿気が溜まってないし、
潤沢に水が出るシャワーもあるし、トイレもある。
私からすれば全く問題なしの、快適な一夜となるはずだった。
夕食の後はすることがないから
皆、ベッドに横たわって携帯をいじるか
みんなでおしゃべりするか、ぐらいのものなのだけど
なんかおかしい。暑い。室内がめちゃくちゃ暑い。
聞くと、エアコンが壊れたみたい、とのこと。
扇風機は天井で舞ってはいるけれど
大人数が一緒に過ごす部屋においてはほぼ無意味。
こもる熱気に一旦収まっていた頭痛が復活。
気分も悪くなってきた。
トイレに行くと、え? 水が流れない…?
シャワーも出ない。洗面所の水も出ない。
棟全体でまさかの断水。
エアコンストップ、水までストップ。
神様、どんな試練を与えてくれるんですか。
進香ビギナーには過酷すぎるわ、この試練。
汗でベッタベタの体もどうにもできない。
吐きたくなってもトイレに行けないと思うと
そのプレッシャーが余計に体調を悪化させる。
水もいっぱい飲みたくなってすぐに水切れとなり
フラフラしながらコンビニに買い出しに行くことに。
心配した友達も一緒について来てくれた。
宿に戻って管理室で断水のことを聞くと
たぶん今日は治らないだろう、とのこと。
元気だった友人でさえもしんどそう。
部屋に戻ってじっとしていたけれど
体調は戻らない。エアコンも直らない。
トイレに行ってみたけど水が出る気配はない。
熱中症で気分が悪くなった私的最良の対処法は吐くこと。
胃の中で消化不良になっている物をすべて吐き出すこと。
そのあと眠れば体調は一気にましになる。
友人に、外の共同トイレ(宿から徒歩3分)に吐きに行く宣言をしたら
どうせ部屋にいても暑いだけ、外の方がましだと
また一緒について来てくれた。
私が格闘している間、建物の外で待ってくれるとのこと。
ありがとうありがとう(号泣)。
とりあえず自然に嘔吐してくれたらと
便器と長らく対峙していたけれど予兆はやってこない。
もう仕方ない。こうなりゃ強制嘔吐。
口に指を一本突っ込んでやっていたけど
涙が出るばかりで埒があかん。
右手の親指以外の4本の指を喉のところまで押し込む。
胃の内容物は出ないのに涙ばかりがぼろぼろ出てくる。
ああああああああしんどすぎる、なんじゃこれは。
何度かトライして、なんとか、なんとか、
おそらく胃の中のものをすべて放出することができた。
これで大丈夫。あとは水分を摂って寝よう。
宿に戻ると、エアコンが復活していた。
エアコン! 冷気! なんとありがたいことか!
ただ、エアコンが復活したらしたで、
ベッドの上段の人たちは寒いと言って消し、
下段の人は暑いと言ってつける、の攻防。
いや、つけてくれ! つけといてくれ!(下段の私の叫び)
ちなみにトイレはその後、
隣の棟は水道が生きていることがわかって
そこに行くことでとりあえず難をしのいだ。
翌朝。4時ぐらいだったか。
まだ外は暗いのにみんな起きている。
体調はだいぶん良くなっていた。
しかも水が、復活していた!
お湯は出ないらしいけど、ここは南国、夏の台湾、
水シャワーで全く問題ない。
タオルと着替えをひっつかんでシャワー室へダッシュ。
媽祖様に試された過酷な一夜を乗り越え、
冷や汗脂汗あらゆる汗を水で洗い流し、
生き返った私め、もう大丈夫。うん大丈夫じゃ。
2018年進香の特集番組、白沙屯から北港への片道分。
人だかりで全く見えなかったあれやこれやの全貌が
これを見て初めてわかった。必見。
つづく
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