_trip 媽祖様と歩いた夏 その0・イントロダクション編(2018年5月台湾旅)

2年前の台湾旅の記録もまだ途中だのに
新たな記録をつけ始める自由をお許しください。
とにかく記憶がある程度鮮明なうちに、
どうしても書きおこしておきたかった。

ーーー

5月中旬、毎年恒例の台湾旅に出かけてきた。
今回の目的は「進香に参加すること」。

去年の夏ぐらいだったか、
大阪に仕事で来ていた台湾の友達とお遍路の話題になった時、
台湾にはお遍路みたいな習慣はないのかと尋ねたところ
「進香(ジンシァン jìnxiāng)というものがあるよ」と。
私のギリギリヒアリングで理解するに、
毎年行われるその「進香」は
台湾でもっとも信仰を集めている神様の一人で
海運を司る女神様、媽祖(マーズー māzǔ)様と一緒に
北港というところにあるお寺まで歩いて行進する
というようなものらしかった。
何日から始まるのか、何日間やるのか、
どのルートを進むのか、すべて毎年違っていて
毎回、媽祖様が決めるのかとか。
彼女も数年前に一度参加したことがあるとのこと。
なにやらおもしろそうな雰囲気しかしない。
考えるまでもなくその場で、
私も参加した胃から来年の日程が決まったらすぐに教えて、
予定を調整するから、と友人にお願いしていたのだ。
(その時点で、その友人も巻き込まれることが確定。)

日程諸々が決まるのは旧暦1月15日と聞いていたのに
思っていたよりかなり早く「決まったよ」のお知らせが来たから
何事かと思っていたけれど、
実は旧暦12月15日に翌年の進香の日程が決まり、
その翌日から後日受付が開始される。

(追記:私の進香お師匠から修正入りました。
 申し込み開始は必ず翌日と言うわけではなく
 その年ごとに状況を見て決められるそう。)

受付は一緒に歩かせていただく媽祖様が普段まつられている
白沙屯拱天宮という廟までわざわざ行かなければいけない。
なんてことを実は実際に台湾に来るまで全然知らなくて
すべて友人のそのまた友人(彼女の進香フレンド)が
私たちに代わって申し込みをしてくれたのでした。
(ありがとうありがとうありがとうー!!!!!)

改めて、今回私が参加させていただく「進香」、
正式には「白沙屯拱天宮天上聖母往北港徒步進香」と言う。
苗栗県の海辺の小さな町、白沙屯に拱天宮という廟があり、
そこにまつられている白沙屯媽祖様(の像)と
おなじく苗栗県の後龍山邊媽祖宮の山邊媽祖(の像)を輿に乗せて
雲林県・北港にある媽祖様の総本山的な廟である
朝天宮まで歩いて旅をするというもの。
(って、山邊媽祖様も一緒に連れてるっていうのは
帰国して調べて初めて知った。歩いているときに時々
横断幕みたいなもので「山邊媽祖」て書かれてるのは見ていて
それは白沙屯媽祖のニックネームかと思ってたら別にいてはったとは。
あの輿の中に二人座ってはるんかしらん。)
実は「進香」という活動自体は台湾各地の媽祖廟で行われていて
他の廟の「進香」は大型バスに乗ってきたり、
台中・大甲鎮の「大甲媽祖遶境進香」みたいに
歩きではあるけどルートが決まっていたり。
その中で白沙屯拱天宮の進香は一番歴史が長く、
さらに全行程歩きでさらにそのルートを
その折その折媽祖様が決めるということで異彩を放つ存在。
故にか、本来はその廟ごとの信徒さんだけの行事なのだろうけれど
地元の人のみならず、台湾各地から参加する人が増えていて
去年は2万5千人、そして今年はなんと4万人。

白沙屯媽祖の紹介はこちらに日本語あり。
(って、この存在、今頃知ったよ。)

申し込まないと参加できないのかと言えばそうではなく、
何せただただ歩く行事なので勝手に合流しても
誰にも何も言われない。
きちんと自分の名前で申し込みをしておけば
ご祈祷をしてもらえて(ってことだと思う)、
正式に媽祖様と一緒に歩く媽祖信徒「香丁腳」になれる。

登録料(志納金)は1人700元。
車で参加する場合や、
ずっと歩き続けるのが不安な人用のバス席を確保しておきたい場合は
別に志納金が必要。



志納金を納めるとこんなアイテムがもらえる。
白沙屯拱天宮の進香と言えばの蛍光オレンジキャップ
(他の廟の進香はまた違う色みたい)、
「香丁腳」の証であるピンク色の腕章(一番大事)、
ここには申し込み番号と、先着で確保できる
北港での宿泊先の割り当てが記載されています。
私は友達の友達のおかげで3ケタだったのですけれど
これ、相当早いみたい。
そもそも宿舎が確保されることが奇跡、みたいな。
(ちなみに宿舎が確保できなかった場合は自分で宿をとるか、
もしくは適当に敷物敷いて野宿(割とみなさんこれ)です。)
あとはピンクのタオル(友達曰く、今年は質が良さそうとのこと)、
毎年違う色で支給されるウインドブレーカー
(ただし今年は申込者が想定を上回ったため
急遽追加した分は違う色になっているらしい)、
あと、キャップの右側にあるもの、
友達に「これ何?」と聞いたら
足に貼るどうのこうの(ちゃんとわかるまで聞けよ、ですが)と
言っていたので勝手に絆創膏だと思っていたけれども
帰国してやっと開封したら何やら謎の、足の疲れを癒やすような、
ピップエレキバンのような、磁気テープ? みたいなものだった。

申し込み時、
「ウインドブレーカーのサイズ、どれにする?」という
お尋ねメッセージをもらっていて
その時に初めてこれがもらえることを知ったのですが
5月の台湾でこれ、要る? という感じ。
「日光がきついから日除けになるかも」と友達は言ってたけど
素材的に昼間は暑すぎて全く袖を通す機会なし。
だけど今年はたまたま開催が5月になったけれども
去年は2月開催ですっごく寒かったらしい。
3月4月なら朝晩はそこそこ冷えるだろうし、
これが必要になる年もあるのだろうね。

で、前年旧暦12月15日に媽祖様が決めた
2018年の進香の日程は…

放頭旗…國曆5月13日(日)23:15(農曆3月29日子時)
登轎 …國曆5月16日(水)23:00(農曆4月3日子時)
出發 …國曆5月16日(水)23:40(農曆4月3日子時)
到北港…國曆5月18日(金)11:00前後(農曆4月4日)
    抵達北港北辰派出所
進火 …國曆5月19日(土)6:55(農曆4月5日卯時)
回宮 …國曆5月24日(木)14:20(農曆4月10日未時)
開爐 …國曆6月4日(月)0:30(農曆4月21日子時)

それぞれの行事について
詳しくは公式サイトをご覧いただくとして。

放頭旗が行われた翌朝、一緒に参加する友達から電話があって
メールじゃなくて電話って何か急ぎの用事かしらんと思ったら
もう進香は始まっているから今日から朝ごはんに肉や魚を
食べてはいけないという連絡だった。
道教でも精進の考え方があるのだな。
肉魚はダメだけど卵は牛乳はオッケー、とのこと。
なるほど。その日からいつも朝食に作って食べている
広東粥をやめて白粥にチェンジ。
ああ、いよいよ始まる、私も参加するんだと静かに興奮。

そしてやって来た、5月16日(水)深夜、出発の時。
友達から中継サイトのURLが送られて来たので見ると
真夜中だというのに爆竹なりまくり、人がごった返してて
なんだかよくわからない。
でも、いよいよ始まった。ワクワクが止まらない。
媽祖様の輿が今どの辺を進んでいるのかわかるアプリがあるので
(これがないと色々不便です、参加者はマストDL!)
暇さえあればそれを見ていたのですけれど…

速度がめちゃくちゃ速い!
歩いてるんよね?
何かに乗って移動してるわけじゃないよね?
真夜中にチェックしても進んでいる!
全然休んでないんじゃないの!?

直線距離にして約130km(でもぐねぐね行くからそれ以上)を
たった36時間で踏破することを考えると
そんなに休んでられないわけで。
なるほど、だから毎年進香に参加しているベテランさんが
「今年は行きが過酷だから参加するなら帰りの1日目に」
と言ってくれていた理由が分かったのだった。

さ、私も、台湾へ。

つづく

コメント

  1. すごいね!你真的太棒了,好詳細且正確的紀錄,謝謝你的用心,而且謹遵所有的規矩(放頭旗後早齋三日),真的好感動哪!
    補充一下:大甲遶境是農曆1/15決定日期,也許你之前聽到的是大甲,白沙屯則是12/15。另外,「受付日」不一定是日期決定後隔日,拱天宮人員會視情況決定報名起始日。
    今度、徒步進香に行きましょう。ぜひ!

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    1. 哇~小v你看得懂嗎?很厲害~!如果你找到錯的地方,就告訴我。謝謝。(嗯,有一天想要再參加一次進香。)

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