_movie 『KANO1931 海の向こうの甲子園』



前売りは買っていたものの仕事が立て込みすぎて行けず
ぎりぎりセーフで滑り込んだ、間に合った!!
(※実際は15分遅れてしまったゆえ冒頭は見逃してしまっている。)

KANO=カノとは日本統治下にあった台湾の南部の町、
嘉義にあった「嘉義農林学校」の愛称。
一勝もしたことがなかった嘉農野球部は
日本人、漢族、原住民族の多民族混成チーム。
名門松山商業野球部を率いた監督・松山兵太郎が
チームの監督に着任してから厳しい練習を経て
翌年には見事全島(台湾地区)優勝を果たし、
甲子園への出場を果たした。

(※以下ネタバレ多分に含みます)



3時間、長いようでわりとしっかり観ることができた。
野球好きの監督が撮ったんだろうなと思わせる作品。

砂が舞い上がる中の、あるいは豪雨の中の
野球の練習&試合シーンは迫力があってすごいんだけれども
それ以外のシーン、人間模様を描くシーンというか
そういうのとのバランスがちょっと良くなかったような。

たとえば練習試合が悪天候で中止になって
そのまま3年生の2人が引退となってしまうシーン。
2人が後ろ髪を引かれるように寂しそうにみんなの元を去るのも
意外なほどにあっさり。もっとなんかあったんじゃないか、とか。
(のちにあの2人が共に“日本人”だったことを知ってびっくり。
 大江君役を演ってた子は台湾人だから仕方ないとはいえ、
 日本語が明らかに片言!!! 愛すべきキャラクターで大好きだけど
 そこもうちょっとガンバってほしかった。)
ゆえに優勝パレードに加えてもらええてた時は嬉しかった。

観ていて、ものすごいいろんなシーンが
カットされているんだろうなと感じる場面もしばしば。

嘉農と甲子園で対戦した札幌商業のエース錠者君が
おそらく数年後、軍人となって台湾に赴き、
嘉農の練習グラウンドを訪れたとき。
なんの前振りもなく、当然のように
錠者君が「いらっしゃいませー」と叫んだかと思うと
そのあと再び時間をさかのぼって甲子園のシーンになり
嘉農のメンバーがあらゆるプレイの際に
「いらっしゃいませー」と叫んでいるとか。
えっと…、いらっしゃいませーって言えとか教えるとか
そんなくだり、この前にあったっけ?
もしかして、わしが見逃した冒頭15分になにかが!!!?
(「幕後直擊」動画をいくつか見ていたら錠者君の分があって
 そこで流れている映像が全く知らないシーンだった…
 もしかして全編錠者君の回想ってことなのか?)

上松くんとお嬢様もあれいつの間に好き同士みたいな展開に?
メイキングにしかなかった、
長椅子に二人、微妙な距離を保って座って
恥ずかしそうにもじもじしているシーン、
それを踏まえての、全島優勝パレードでの目配せシーンからの、
わざわざ急ぐ足を止めて決勝を中継するラジオに耳を傾けるシーンへと
繋がっていくわけで、カットしてはだめなところだったんじゃ? と。

これだけカットした上でも3時間だからくそ丁寧に人物まで描いてたら
何時間あっても足りないということなのかもしれないけれど
それでももう少しそこに厚みがないと感情がいまいち移入しづらい。
これ、『弱くても勝てます』的に連ドラで見せてもいいぐらい。

あと台湾へと帰る船でのラストシーン。
『海角七號』を思い起こさせる、CG感満載過ぎる船のディテールに
若干興ざめ。なんかもっとどうにかならんかったんかしら。
『海角七號』は予算がなかったから船もあんな感じで、と
ウェイ・ダーション監督もなにかで話した記憶がある。
でも今回はそこそこお金もあったのでは?
あと、船から見る太陽?空?がどうのこうのみたいな話が
先にあったからそれがここで結びついてくるのかと思いきや
まーーーーったく触れられず。あのフリはなんだったんだ。

とかなんとか言い出すとまだいろいろあるけれど
ただ、やっぱりスポ根にはとんと弱いわしゆえに
滝のように涙が出続けていた。
なんでかしらとあれこれ頭の隅っこではツッコミながらも
目の前で繰り広げられる青春群像には素直に泣けるわけで。

それぞれみんな演技もプレーも全身全霊、一生懸命な感じが
痛いほどに伝わってきたから心が揺さぶられたのだね。
選手の顔と名前もなんとなく覚えたところで
帰ってからメイキング動画をしこたま見まくって
汗水垂らして時には涙流しながら頑張っている
役者たちの姿を見たらもうそれでいい気がしてきた。
いや我ながら単純だ、脳内構造が。

とりあえず、吳明捷君役のツァオ・ヨウニンくんが
思いの外かっこよかったのでそれ眺めてるだけでも
結構楽しい時間。
(あと平野君がベイブルース河本さんに見えて仕方なかったのと
劉君がCOWCOW多田さんに見えてしょうがなかったのと。)



(左から6番目が吳役のツァオ君、一番左が劉役のチェン君、
 左から2番目が平野役のチャン君)

こういうのを眼福って言うんだねえ。
全選手、それぞれが愛おしい。

これだけ観ると、
やっぱり台湾って親日なんだな、と単純に思うかもゆえ
そういうことでもないよというのが少しでも分かるニュース動画も。
台湾人に対して高圧的に接した日本人も確実にいて、
反して分け隔てなく接した日本人もいて、
さらにその前やその後のいろんな歴史を経て、
今の台湾人のキャラクターが形成されているのだよね。
ゆえに当然台湾人だれもが親日ってわけではない。
ただ、親切でやさしい人が圧倒的に多いなというのは
訪れるたびに肌で感じているし、常に感謝でいっぱい。



最後にもういっちょ、
現地で公開された際の予告編も。


→『KANO1931 海の向こうの甲子園』公式サイト

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