_movie 『九月に降る風』

良かった…良かった…。
とても痛かったけど…良かった…。

思春期独特の危うさというか
ノッてるときはすべてが楽しくて
箸が転んだだけで面白いけど
少しでも亀裂が入ったときに
もろもろと崩れてしまうことがある。
日本のちかごろ流行りの青春系であれば
亀裂が入っても入っても仲間で結束!
みたいな感じだけれど
現実はそうとばかりは限らないものね。

だいぶん前にDVDで観ていたときは
気づかなかったあれやこれやがぽろぽろ見つかって
あ〜しまった〜!って何度思ったか。
そのどれもが主張しすぎていないから
深夜の疲れた私の目は完全にスルーしてしまっていた。
でもそのどれもが作品において欠かせない要素だったのだ。

主人公の7人の男の子すべてに
それぞれの思いがあって
僅かなカットにそれが込められていたりする。

DVDで観たときには全く意味が分からなかった
野球賭博事件との関わりも
なんとなく、自分の中で納得できるものがあったというか。

遠くであれば、身近であれ、
自分の“スター”が信じられなくなったとき、
あるいはいなくなったときの
苛立ちとか喪失感とかそういう…
結束の源になっていたものを失ったあとって
どうすればいいのか分からなくなるもので。

知らない間に、なんつーか、
泣いてしまっていた。
これってこんなにすてきな作品だったんだと
鑑賞2度目にして知った。
ザ・ハッピーエンド!でもないし
何なら、観ていて結構痛いんだけれど…良かった。

きっと日本ではヒットしないんだろうけどね。
これがヒットした台湾が逆にすごいと思える。
いい国だと思えるよ。


『九月に降る風』
(原題:九降風)
@シネマート心斎橋


※台湾正式予告版


前日、前売券を駆け込みで買いに行ったら
なんとなんと写真のパターンが9種類もありまして。
九降風だから9種類? すごい気合いの入れよう。
さすがに1枚しか買えないので写真撮らせてもらった。
(全パターンは画角に収められませんでした。)


新竹って台湾島の北端だと勝手に思ってたけど西側だね。

コメント

  1. hirocalです。23日に渋谷の小さな映画館に慌てて飛んで行き、25日まで上映の「九月に降る風(九降風)」を見てきました。

    高校生の友情と亀裂、そして様々な形での別れが描かれていて、本当に胸が苦しくなるような作品です。タイトルに影響されている可能性はありますが、比較的カラッと爽やかな風が常に吹いているような、そんな印象が強く残っています。

    それに、モヤモヤした気分のまま終ってしまうと思ったこの作品にも、最後には野球場のあのシーンが用意されていて、何か胸のすく思いも感じさせてくれます。エンディングの張雨生の歌も印象的。台湾でヒットしたのもうなずけます。なにしろ、学校のシーンなんて恐らくみんながそれぞれに持っている、しかし共通の思い出なわけで、観客はきっとこの作品のシーンと自分の学生時代を重ねてみていた部分があるんじゃないかと。

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  2. >hirocalさん
    コメントありがとうございます。
    『九月に降る風』観に行かれたんですね。
    こういう、地味でもすてきな台湾映画が
    これからもたくさん上映されるといいなと思います。
    いや、地味じゃなくても何でも
    もっとたくさん観られる機会があるといいなあ。

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  3. 小美さん、おはようございます。hirocalです。

    先日香港に遊びに行ってきまして、そこで映画のVCDを多数買ってきました。DVD全盛期の中、香港では安価なVCDも依然としてしっかりとした市民権を得ており、ちゃんとしたパッケージで売られています。画質も大画面で見たらどうなるのかは知りませんが家のテレビ20型(?)で見るには十分のクオリティ。その上、数年前の映画ですと日本円換算で250円程度、1年前のもので600円ですからね。実は私の家にはまだパッケージを開けていない香港映画のVCDが50本ぐらいあります。(いつ見るんだろ?)

    で、香港映画のほかに台湾映画を数作品買って来ました。「九降風」「愛到底」「夏天的尾巴」「渺渺 Miao Miao 」の四作品です。これらは時間を見つけて優先的に見るつもり。非常に楽しみです。

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  4. >hirocalさん
    コメントありがとうございます。
    よくあちこち旅行に行かれるんですね。
    うらやましいです。
    『愛到底』は私も気になっている作品です。
    先日台湾に行ったときに機内上映されていたのですが
    私の機器だけ音声が出なくて。
    日本での公開を待ってるんですが
    まだまだそうですね…。

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