_movie 『孫文 100年先を見た男』
孫文と言えば辛亥革命、
中華民国建国に導いた人、
台湾では国父と呼ばれていて…
ぐらいの淡い知識。
台湾が好きというならこの映画は
見ておくべきだと思った。
描かれていたのは孫文の一生ではなく
亡命先の日本で国外退去を命じられて
ペナン(現在のマレーシア)にうつり
そこで過ごした数カ月? 数年? の話。
製作したのは台湾かと思ったら
中国だったのも意外だった。
だって、孫文は中華民国の仮総統だった人で、
その後に興ったのが中華人民共和国だから
どっちかというと中国は孫文否定派だと思ってたから。
wikiには、中国からも台湾からも尊敬される
数少ない人、と書かれていた。ほんまかは知らんが。
ストーリーとしては少し美化され過ぎというか
確かに革命に対して強い思いはあったんだろうし
資金調達もめちゃくちゃ大変だったんだろうけど
孫文側からしか描かれてないし
彼が外洋で資金を集めてる間に
きっと内地では清は革命家を迫害してただろうから
その辺が見えづらいので少しのんきに見えたというか。
映画になっている時点である程度脚色されてるだろうから
これを史実として丸ごと受け止めるのは危険かもしれない。
不思議に思ったことは
演説シーンで「われわれ中国人は」というような
表現が出てくるのだけれど、
中国人ということばって当時からあったんだろうか?
これは日本語字幕の翻訳段階で付けられたのかもだけど
当時はまだ満州民族が統治する清の時代だったわけで
「われわれ漢民族」ならまだしも
「われわれ中国人」って、まだ中華民国も中華人民共和国も
この世にありませんけど? と。
もしかしたら中華民国とか、それにちかい用語は
革命活動当時からあったのかもしれないけど
少し違和感を感じた。
あと、これはどこまで史実か分からないけど
孫文の“彼女”(名前失念!)のこと。
孫文の奥さんは宋家の三姉妹のうちの誰かだったと
記憶していたけれど、“彼女”は違った。
看護婦と行ってたので孫文が医者だったころに知り合った
人だと思われるけど、彼が各地を逃避行するのも
危険を顧みずに付き添って、ペナンで孫文を見送って以来
静かにペナンで隠居したそうだ。
家柄も学歴もない自分が孫文の傍にいると
きっと邪魔になる、
だから彼が総統になったら私は傍にはいられない、と
いうようなシーンがあって
まるで大報恩寺のおかめ伝説のようで泣けた。
女性かくあるべしとは思わないけど
映画を見る限り、十分聡明で行動力も勇気もあって
孫文をかげで支えていたのは間違いなく彼女。
落ち着いたら子どもをつくろうとまで言われて
愛されていたのに、きっぱりと身を引く潔さ。
これを演じていた女優さんの演技が本当にすてきで
役にぴったりとはまっていて
目を離すことができなかった。
それにしても看護婦なのに小さな銃をもって
孫文を狙う暗殺者から身を守るって
どこまで真実かしらんけど、凄すぎる。
あとひとつ。
冒頭、たどたどしい片言の日本語の会話。
一人は孫文として、もう一人は誰?
中国人同士なら中国語で話せばいいし
孫文とともに日本に留学していた外国人友達?
と思っていたら、最後に孫文が相手の名を呼んだ。
「梅屋さん…」。日本人かい!!
しかも声だけの出演なのであれば
せめて誰でもいいから日本人を使ってよ〜〜。
背景で流れている当時のモノクロ写真
(これが凄まじくえぐいため薄目で見た)はリアルなのに
せっかくの緊張感が…。
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