_movie 『若葉のころ(原題:5月一号)』

本国台湾で昨年公開された映画、
この短いスパンで日本公開されるのは嬉しい限り。
今の季節にぴったりな、台湾お得意の瑞々しい青春映画だ。

実は観に行く前、映画館サイトのタイトルの横に
「PG-12」というマークを発見、戦々恐々としていた。
エロはいいけどグロは無理。
友達に連れられて観に行ってあまりのエグさにドン引きした
『キル・ビル』(PG-12)のトラウマを未だ引きずっているせい。
台湾映画だから見ておきたい、
でも指定がかかるほどグロい作品ならちょっと考える。
行く前にいろんなサイトで情報をチェックしても
その手がかりになるようなものはなにも見つからなかった。
たぶん、あるとすれば、エロの方だろうと判断、
仕事が早く終われた水曜日(やったねレディースDAY!)、
シネマート心斎橋へ。

PG-12の元凶情報を検索しまくりながら
いろんな人のレビューを読んでいると
「泣ける」「ハンカチが手放せない」的なことを
書いている人がとっても多かったので
私も覚悟して、ハンカチを握りしめて席に着いたら
流れた韓国映画の予告編でうっかり号泣。
『あなた、その川を渡らないで』、やばい。
あれはやばい。全編泣き通しそうゆえ絶対見たくない。
思い出しただけで泣きそう。

閑話休題。


©South of the Road Production House

ここから少しネタバレも含みますゆえ
これからご覧になられる御仁は読み進められませぬやう。

予告編、日本公開版。



予告編、台湾公開版。



足元だけ、影だけ、風景だけ、
それだけで青春のきらめきみたいなのを切り取るのが
うまいよな、台湾映画。ということは
台湾の風景そのものが青春の色みなんかしら。

この映画で「あらすじ」として書かれていることが
この作品のすべてだった。
そのからの展開とかがあまりなく、
そのすべてが2時間かけて描かれている。
交通事故で昏睡状態となった母が青春時代を送った80年代と
その娘が青春をまさに今送っている現在とが行き来する。

個人的に興味深いのはやはり80年代の方で、
戒厳令が敷かれていた時代の学校の様子がまた少し知れた。
まるで軍服のような男子の制服とか。教室は男女別々とか。
表彰を受けるときは敬礼とか。
なかでも一番興味深かったのはお弁当のこと。
お腹を空かせた男子らが「弁当管理室」という部屋に忍び込むシーン、
部屋に備えられた大きな保温機?のドアを開くと
名札のついた大量の弁当箱(懐かしのアルミ製)が詰まっていた。
冷たい弁当大嫌い! の台湾人、
そっかこうやって昼ごはんの時間まで温めておいて
ぬくぬくのを食べていたのだね。

ストーリーはわりと想像通りというか。
ただ、ハッピーエンド好みとしては
良い方向に向かいそうな感じで終わったのが良かった。

めちゃ泣けるとの件については
最後の最後、高校時代の母(ワン・レイ)の
恋の相手だったリン・クーミンが
当時自分がワン・レイに贈った
ビージーズ『若葉のころ』のレコードを、
突き返されたと思ってそのまま実家に放置していたものが
実は同じものを持っていたワン・レイが
贈り返してきたものだとわかったシーン、
大音量でかかる《若葉のころ》の音色も相まって泣いてしまった
…が、
それ以外では意外と泣くことはなかった。

わりとかっこいい男子がたくさん登場して
若き日のワン・クーミン演じる石知田くん
(なぜかトレエン斎藤さんに見えてしまう)、
ワン・クーミンの友達役の林志謙くん、
娘の恋の相手イエ演じる鄭暐達くん、
出過ぎず不器用ででも純粋な男子たち、
これも台湾の青春映画の重要要素だぬ。

ちなみにPG-12の件、
生活指導の先生の部屋に忍び込んだ
(あちこちよく忍び込むけども)クーミンたちが
没収されたものからアダルト雑誌やレコードなどを見つけて
持ち出すシーン、その中にわりと怖い形状の刃物もあって、
それでだれかをめった刺しとか!!!!? とビビっていたのだけど
結果的にはたぶんあのシーンのせいだろうと判断するとするならば
答えは「エロ」の方でしたよーっと。
否、もしかしたらその現場に出くわし激昂したクーミンが
例の刃物で男性(生徒指導教師)のおしりを刺すのだけど
そのシーン…ではないな、やっぱり。
あの程度のエロでもPG-12なのだなあ。

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